President's view

代表取締役 桐岡俊樹

『まだまだ出来ることがあるはず!?』

いつも大変お世話になりありがとうございます。また毎度ビプロスニュースをご愛読頂き感謝申し上げます。

ついこの間新しい年を迎えたばかりだと思っていたのに、もう桜が散ってしまい、梅雨、そして夏へとまっしぐらといった季節。昨年もこの場で書かせて頂きましたが、この季節になると毎年湧き起こってくるのが『あと何回桜を見ることが出来るのだろうか?』という感慨と、時間を意識し、もっともっと日々を大事に過ごさなければもったいないなぁという悔恨。
そこで今回は、最近激増している新入社員たちの離職について考えつつ、自省の念を込めて『まだまだできることがあるはず』をテーマに進めてみたいと思います。

昔から少なからずどこの会社でもあることだとは思いますが、最近特に増えているのがスタッフがすぐに辞めてしまうこと。美容業界では新人が入社して3年以内に80%が退社するなどとも云われていますが、異業種においても比率は当業界と比較すると低いものの、傾向は似たり寄ったり。
『今の若い者は!』などと、私自身も過去多くの先輩たちから言われたような言葉を吐くつもりは毛頭ありませんが、いつの頃からか教育環境の変化の影響か、個性と自分勝手を混同し、個人のワガママが許容される社会に変化してしまった結果、我慢が出来ない人が増えた気が致します。自分は頑張っているのに認めてもらえないのは周りがおかしいからだと考える人が増え、一方そのような若者に対し大人も、半ば諦め気分で真っ向から叱ることすらしなくなってしまったように感じます。
今は残念ながら解散してしまったスマップの『世界に一つだけの花』の一節にもありました、『ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン』という歌詞。これは、結果としてナンバーワンにはなれなかったとしても、あなたは特別なオンリーワンなのだから日々自分を磨きさらに輝くための努力を怠ってはいけないということを本来は伝えたかったのだと私は思いますが、それを自分の都合のいいように解釈し、特別な努力をせずとも今のありのままの自分で充分なのだというメッセージとして受け取ってしまった人がどれだけ多くいることでしょうか。
たとえ今の自分に納得できずに悩んでいたとしても、自分そのものを卑下したり自分を嫌いになったりする必要は全くありませんし、良いことも悪いこともひっくるめて自分のすべてを受け入れる気持ちは非常に大事なことだと思います。しかし、人は今のままで止まっていていいはずがありません。人は成長するために生きているはず。成長するためには、出来ないことを出来るようにしたり、分からないことを理解出来るようにしようとする不断の努力が必要です。大変そうだから出来ないとか、嫌いだからやらないなど、必死に努力もしないでいるそのままの自分を認めてもらいたいと願うのは、社会の中では少々虫が良すぎる考え方。もちろんそのように考えている人はビプロスニュースをご覧頂いている中にはいらっしゃらないと思いますが。
かなり前のビプロスニュースで書かせてもらいましたが、『人生は下りエスカレーターを上るようなもの』(ご興味のある方は、弊社ホームページでご覧下さい)という話。
その中で伝えたかったことのひとつが、とにかく最初はあれこれ考えず、まずは我武者羅になってエスカレーターを一気に2階まで駆け上がってみましょう!ということでした。2階の踊り場まで上ってみないと実際の2階の景色は見えないはずなのに、1階に留まっていながら、あるいは少しだけ上ってみたところで足を止めてしまったままで、2階はきっとこうだとかああだとかわかった気になって物事を評論する人がいかに多い事か。 これでは暗闇の中で字を読むようなもので、すべてが単なる妄想や思い込みで終わってしまいかねません。  我々を取り巻く社会は我々が気付かないうちにもどんどん進化しています。そのような中で、2階に上ろうとするアクションすら起こさなければ、現状維持どころか衰退するのは自明のことです。

頭で考えすぎると、人は先入観や思い込みによって足がすくんでなかなか一歩が踏み出せません。若い新人だけでなく、我々も今見えている部分だけを見て物事を判断せず、まず一歩を踏み出す行動力を持つこと。変化を恐れず、また面倒くさがらずにやったことのない事や嫌いなことに挑戦してみることが大事だと思います。
新人の方には、少なくともまずは最低3年、仕事の全体像が見えるようになり、ある程度のレベルで仕事がこなせるようになるまでは、今の仕事をしっかり続けてみてほしいと思います。自分がまだ発展途上にあり、成長の途中段階にあるにも関わらず、わかった気になってこの会社はダメだとか、自分はこの会社には合わないなどと、勝手な判断で仕事に飽きたり諦めたりせず、まずは必死になってエスカレーターの2階の踊り場まで到達してみてほしいと思います。一番下の1階にいながら見ていた会社の景色と、2階の踊り場にたどり着いた時に見える会社の景色は確実に違います。あんなに悩んでいたことが実は何ともないことだったことに気が付くかもしれません。またあんなに嫌だった先輩が実はこんなにも自分のことを大事に思っていてくれたのだと気付くこともあるかもしれません。
ましてやどんな理由があるにせよ、自分が2階へ上り切っていない発展途上の状態のままで他の会社に転職したとしても、そこでも必ず退社した原因となったものと全く同じ壁にぶち当たるのが常。同じことで悩むはずです。今の会社は自分が選んで入社を決断した会社。まずは自分を信じ、その会社を信じて、少なくとも上の踊り場に到達するまでは、飽きずにやり続ける努力をして頂きたいと願います。なぜなら、そこに到達できれば、さらにもっと先にある次のステップにつながる光や道筋、そして希望が見えてくるはずですから。

さて話は変わりますが、先日実家に顔を出した時のこと。実家には段ボール箱一つだけ、いまだに私の荷物が置いてあります。何とはなしに久しぶりにその中にあるアルバムを取り出してみました。生まれたばかりの写真。小学生の時の写真。成人式の写真。その自分の写真を時系列に並べ、その後今の自分の顔を鏡で見てみると。。。ずいぶんとシワの増えた顔にビックリしましたが、それらの写真をぼーっと見ておりました。すると、アルバムの中に写っている両親や親せき、また友人などと過ごした時間が走馬灯のように突如頭の中を駆け巡り、懐かしさと共に、自分は本当に色々な多くの人に育てられ、助けられ、大事にしてもらったのだなと感慨にふける時間を持つことが出来ました。
そして、懐かしい人たちの笑顔や怒り顔を思い出しながら、今の自分はその世話になった人たちに対して恥ずかしくない生き方が出来ているだろうかと、ふと疑問が湧いてきました。今の自分のままでいいのか、もっと出来ることはないのか?もっと悩んだり、努力したり、出来ることはまだまだたくさんあるのではないかと。
翻って、仕事に疲れ、人間関係に疲れ、辞めたいなという気持ちが頭をもたげてきた新人の方々。過去自分と関わってきた数多くの人たちや、今の会社のオーナーの顔や先輩や後輩の顔、そしてお客様の顔を思い返してみて下さい。そして『今の自分の行動はお世話になった人たちに対して恥ずかしくないか?』と、自分に問いかけてみてはいかがでしょうか?そこから新たな気付きが生まれるかもしれません。

もし現在、仕事がつまらないとか人間関係で悩んでいて今の会社を辞めたい、あるいは隣の芝生が青く見えて他の仕事に転職したいなどと思っている人がいたとしたら最後に一言。仕事に楽しい仕事もつまらない仕事もありません。自分が楽しいと思える取り組みをするか、つまらないと思ってしまう取り組みをするかだけの違いです。
我々の所属する美容業界は、想像している以上に自分の取り組み方次第で可能性が無限に拡がる業界です。まだまだ出来ることはたくさんあるはず。ぜひ共に更に夢を膨らませられる世界にしていくことが出来たら幸甚です。

今回もプレジデントビューにお付き合いくださいまして有難うございました。

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