President's view

代表取締役 桐岡俊樹

『やりきる文化を根付かせるためには!?』

新たな年を迎え早くも1ヶ月が過ぎようとしていますが、旧年中は社員共々大変お世話になりましたこと、まずはこの場をお借りして心より厚く御礼申し上げます。本年も倍旧のご厚誼を賜りますことを心よりお願い申し上げます。

それでは今年もビプロスニュースをスタートさせて頂きます。

 

消費税の増税がスタートした一昨年の4月以降、政府の大本営発表もどきの指標とは裏腹に消費が冷え込んだままの日本社会ですが、昨年はあなたにとってどのような年でしたでしょうか?

当業界では、売上が前年を超えたサロンが全体の1割程度などと云う話も耳にしますが、今までと同じことをただ繰り返すだけでは益々状況が厳しくなってくることは明らか。今年は酉年ということもあり、『今までと同じ』という殻から脱皮し、改めて新たなビジョンを掲げ大きく飛躍する年にしたいものです。

 

さて先日、ある会社にお邪魔した時のこと。

『こんにちは』と挨拶して中に入ると、着席している社員の方々全員が立ち上がり、とにかく気持ちのいい笑顔で『いらっしゃいませ、こんにちは!』と出迎えてくれました。また隣の部屋に移動するとそこでも同じ光景が。誰一人として面倒くさそうに挨拶をする人はおらず、私自身もとても心地よさを感じ、一瞬でその会社のファンになってしまいました。

お客様を気持ちよく受け入れる姿勢、これは上司に指示されたからといって簡単に出来るものではなく、この会社にはそれが『文化』としてしっかり根付いているのだなと感じた瞬間でした。

そこで今回は『やりきる文化を根付かせるためには?』をテーマに考えてみたいと思います。

 

先日弊社の幹部ミーティングの席でのこと。私は会議の開始と同時に、いきなり(暗い顔をしながら)『先月、目標が達成出来なかったので、今月から幹部の給与を20%カットさせてもらうよ!』と話をしました。(もちろん冗談ですが)

みんな、びっくりしてフリーズ!さすがに『約束が違う!無責任だ!』と私をののしる幹部はいませんでしたが、納得出来ないといった顔と不安な顔が入り混じってどんよりした雰囲気に。。確かに給料をもらうことは、雇用契約に基づいた働く側の権利であり、会社との約束ですから当然かもしれません。

これ以上脅かすとあまりにも気まずい雰囲気になりそうだったので、そこでネタ晴らし。今の話は冗談だということを伝えると、皆はほっと一息。

そして、一人一人が掲げた目標を達成しないということは、約束した給与を払わないのと同じくらい無責任なことなのだという話を付け加えました。

『ウチはなかなか決めたことが徹底できないんです』という悩みは、多くのサロンオーナー様から聞く言葉です。

目標は達成するもの。達成して当たり前のことです。これは仕事をしている以上誰にとっても最低限守るべき責任。しかし皆様にも経験があると思いますが、立てた目標を達成することはなかなか容易なことではありません。なかには目標はただの『出来たらいいな』程度のお飾りになってしまっている会社も少なくないと思います。

 

年始を迎え、今年もあなたの会社でも新たに決めたことがあると思います。テーマやスローガン、年間スケジュールや月別キャンペーン、また注力するメニューや商品など、さらには他にも挨拶や接客、あるいは声かけやカウンセリングのあり方や報告のあり方などなど。しかし、それがなかなか実践されない。もしくは実践出来たとしても継続できない。そういった状況に陥ることはないでしょうか?

これを仕方ないことだと諦めてしまっていると、いつしか目標を達成できないことが繰り返され、さらにはそれが当たり前の『負け癖文化』として定着してしまいかねません。当然いつまでたってもやりきる文化など根付くはずもないでしょう。

 

おそらく、決めたことを徹底できないのには、原因がふたつあると思います。

一つ目は覚悟の弱さ。例えば箱根山(新宿区にある築山では東京23区内では最も標高の高い山(44.6m))と富士山。山登りをしようと思った時、あなたは同じ気分で登山するでしょうか?箱根山であれば普段着のまま気楽に登れるはず。しかし富士山に登ろうとしたらかなりの決意や覚悟がいると思います。さらにエベレスト登山だったら死ぬことすら覚悟しなければ出来ないでしょう。洋服も重装備が必要でしょうし、もちろん手ぶらやサンダル履きなどでは行けません。

では仕事に向き合う時はどうでしょう。せっかく高い目標を立てたとしても、普段着感覚、箱根山に登る程度の覚悟のままでは決して決めた目標など達成できるものではありません。やりきるために、時には普段着を脱ぎ捨て、しっかりと重装備(事前準備)をして富士山やエベレストに登る覚悟を持って取り組まなければ、すべては絵に描いた餅になりかねません。

 

そして二つ目。決めたことをやりきってもいないのにそれを曖昧なまま終わらせてしまったり、また未達成の原因を明確に出来てさえいないのに、今度は何をするかという新しいテーマにばかり気を取られてしまったりすること。課題をやりきれなかった場合、それに対しての深い反省や分析もせずに、それこそ何事もなかったかのように普通に次の新しいテーマに切り替わってしまう環境だと、今までのすべてが簡単にリセット出来てしまうという甘えが生まれ、結果として決めた目標が達成できなくても次に頑張ればいいからといった無責任な体質を作ってしまうものだと思います。

 

ではどうしたらやりきる習慣が生まれ、そしてそれが会社の文化として根付くようになるものなのでしょうか?

 

単純な話、これは、決めたことをやりきらないと認められないという風土や、なにがなんでもやりきることが当たり前なのだという環境を作るしかないのだと思います。このような難しい事、それは一朝一夕に出来上がるはずがありません。日々一瞬一瞬の訓練、クセ付けにより習慣になるまでコツコツとやり続けるしかないものだと思います。

 

参考までにこのような事例。

あなたのサロンでも、キャンペーン等で、この期間でこの目標を達成出来たら金一封などという決めごとをするケースがあると思います。そんな時、もし達成率99%だったとしたらあなただったらどうしますか?

あるサロンオーナーがそのような場面で、『なんだかんだ云ってもみんな頑張ったから』と、金一封を出そうとしたそうです。するとその時、ナンバーツーである店長から意見されたとのこと。『そんないい加減なことをするからウチはすべてが徹底できないんです。そんな温情こそが会社をダメにするんです。それこそがワンマン経営です』と。喜んで同調してくれると思っていた店長からそう指摘され、驚きと共に目からうろこが落ちる思いをしたそうです。そのおかげかそのサロンでは、現在では『未達成』という言葉が死語になりつつあるそうです。

 

また、このようなケースはありませんか?朝礼を始める際に、まだ誰かがペチャクチャしゃべっていたり、掃除や片付けをしている人がいたりする中、つまり全員が朝礼に向き合う姿勢が整ってもいないのに、朝礼当番が『おはようございます!と』いきなり朝礼をスタートさせてしまうケース。

 

上記のように決めたことを100%やりきれていない状態なのにもかかわらず、中途半端な優しさ(甘さ)から合格点をあげてしまったり、あるいは次のステップに入る準備が整ってもいないのに、次の課題に行動を移してしまったりすると、一事が万事。それが当たり前になって、すべてがだらだらしたけじめのない弱い組織が出来上がってしまうものなのではないかと懸念するところです。

 

優しさと甘さは紙一重です。頑張るのは当たり前。100%達成できなかったら頑張っていないのと同じ、たとえ頑張っていたとしても努力の仕方が間違っているのだということを堂々とスタッフに反省を促すことが出来る勇気、そして次の行動に移る時は、あくまでも今やっている行動を全員に終了させ、次の行動に移る準備が整わない限り新しいことは始めない覚悟。このけじめ作りが、だらだらとした流れを断ち切り、物事を徹底することを身に付ける上でも大事なことだと思います。

 

そしてこれは日常の地道な繰り返しがあってこそ身につくこと。これをして初めて、やりきらないまま終わらせることへの悔しさや罪悪感、違和感を感じられる風

土が出来上がってくるものなのではないかと思います。思い立ったが吉日。新しい『やりきる文化』作りに向けて、やらない理由を考えるのではなく、まずはすぐ、今日から始めてみることをお勧め致します。

 

現代はインターネットの普及により情報が蔓延し、方法や手段に関する知識も洪水のようにあふれている時代です。そんな時代だからこそ益々他社との差別化が求められています。

しかし差別化を実現するためには、もはや、より良いやり方をあれこれ模索し続ける能力では物足りません。それよりも、決めたことをいかに実現するか、つまり決めることよりも決めたことをどうやって『本気で徹底するか』そしてそれを『習慣、さらには文化として根付かせる』ところまで引き上げられるかという『推進力』が問われているのだと感じます。そして私もこの『推進力』の強化を本年の課題として取り組んで参りたいと思う次第です。

 

最後に年始にあたり、改めまして本年が皆様にとって素晴らしい一年となりますことを心よりご祈念申し上げますと共に、併せまして弊社に対し更なるご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

今回も最後までお付き合い頂き有難うございました。

 コラム一覧に戻る

お問い合せ・ご相談などお気軽にどうぞ