President's view

代表取締役 桐岡俊樹

『良好な関係を維持する秘訣!?(前半)』

いつも大変お世話になりありがとうございます。また毎度ビプロスニュースをご愛読頂き御礼申し上げます。

 

ついこの間新しい年を迎えたばかりだと思っていたのに、もう桜が散ってしまう季節。この季節になると毎年思うのが『あと何回桜を見ることが出来るのだろうか?』ということ。不平等な世の中にあっても、唯一誰にでも平等に与えられているのが、一日は24時間という『時間』。一日一日、それこそ一分一秒をもっともっと大事に過ごさなければもったいないなぁと自省しつつ、今回は『良好な関係を維持する秘訣』をテーマに考えてみたいと思います。なお、このテーマについても前半と後半の2回に分けてお届け致します。

 

さて先日あるサロンのオーナーとそのナンバーツーの方と食事をした時のこと。お互い普段から腹に溜まっていることを一気に吐き出そうと云う話になり、会話がスタート。

ナンバーツーの方からは『うちのオーナーは遅刻するし、スタッフの面倒は全部私任せだし・・・・』

それを受けてオーナーは『お前は仕事のスピードが足りない。スタッフに甘すぎ・・・』などなど、お互い不満が出るわ出るわ。。

しかしこれはよくある光景。少々お酒が入っていたことと、第三者である私が間に入っていることで普段言いにくいことも余計に言い易い雰囲気だったのでしょう。とにかくお互い相手を言い負かそうと必死。

同じ職場という箱の中で四六時中顔を突き合わせていると、どうしても不満が出てくるのはある部分当たり前といえば当たり前。なぜなら人同士は育った環境も違えば、全く別の人格を持った者同士なのですから。

 

しかしお互いが不満を溜めこんだままイライラしたり、それを闇雲に相手にぶつけているだけでは何の問題解決にもならないばかりか、人間関係を崩壊させてしまいかねません。

これはおそらく、自分はこんなにやっているのにあの人は全然やってくれないとか、自分のことをわかってくれないなどと、『自分VS相手』というように常に相手と自分を比較、対峙(たいじ)し過ぎている、つまり相手に対して真正面から向き合い過ぎていることによって引き起こされていることなのではないでしょうか。

男女の恋人関係を例として考えてみると、若い頃はお互いにあばたもえくぼ。『あなた、素敵ね~』『君、最高!』などと言いながら付き合っていたとしても、その二人が仮に結婚して20年経ったとします。男性は若い頃のスリムさが見る影もなくお腹がポッコリ出てしまったり、加齢臭がしてきたり。また女性だってあれほど優しかったはずが図々しくなったり、人前で恥じらうことなく平気でオナラだってするようになるかもしれません。このように長い年月を経ることで、『こんなはずじゃなかった!』などと相手のアラが目についてくるものです。そのような状況で昔の恋人時代と同じような感覚で相手を想い続けられる夫婦がどれだけいるでしょうか?

僭越ながら、夫婦円満の秘訣は何かと聞かれたら、私は相手の顔を正面からじっと見続けるのではなく、横に並んで同じ方向を見ることだと答えます。お互いの人生の5年後、10年後、20年後どうなりたいか、二人でどういうゴールを目指していくのか、それをイメージし、その到達点に向かって共に人生のパートナーとして歩き続けることが大事だと思います。加齢による体力の衰えだとか、ちょっとした態度の変化ばかりを気にしてイライラしていたら前向きに人生を歩むことなど出来なくなってしまいます。お互いに人間としての弱さを知った上で、二人の到達点に向けて寄り添いながら歩を進めていく。これが夫婦円満の秘訣なのではないかと思います。

仕事上のパートナーや仲間との関係もこれと一緒。

相手がどうだとかこうだとか、相手の弱点や欠点に目くじらを立てて闘い合うよりも、常に共に共通の到達点を見つめ、やり方はそれぞれ違ったとしても、実際にそこに近付けているのか否かだけをお互いの関係のバロメーターにするといいのではないかと思います。相手の足りないところは自分がカバーし、自分の足りないところは相手に助けてもらう。こんな感覚をお互いが持てたら素晴らしい関係になれるのではないかと思います。特に組織のトップとナンバーツーとの関係はこうあってほしいなと思うところです。

 

 

人間関係がうまくいかない事例をもうひとつ。

自分では頑張っているつもりなのになぜか相手から評価してもらえないことってありませんか?これはもしかしたらあなたが、相手が最も望んでいる、あるいは求めていることを等閑(なおざり)にしたままで、他のことばかり頑張っているから、つまり頑張る方向を間違えているからかもしれません。

 

例えば、あなたが後輩に足を踏まれたとします。普通だったら、後輩はすぐに『ごめんなさい』と足をどかし、あなたは気にもしないはず。しかし、もしその後輩が踏んだ足をどかさないままで、『先輩はすごい、私もあなたみたいになりたい』とか、『あなたを尊敬しています』などと、本来であれば嬉しいはずの言葉をかけてきたり、『お疲れのようですがコーヒーでもいかがですか』などと気を遣ってくれたとしたらどうでしょう?『ありがたい』と感じるよりも、『ありえない』、『そんなことより、まずは足をどかせよ!!(怒)』と思うものなのではないでしょうか。

このように人の足を踏んだまま、自分の足をどかしもせずに、他人の頭を撫でようとする行為、つまり他のことばかりを一生懸命頑張ろうとするケース。これは、実は日常的に多くの職場で見かけることです。

例えば、職場では規律や挨拶が大事だと分かっていながら、しょっちゅう遅刻したり期限が守れなかったり、挨拶すらまともに出来ない人。レポートを提出する際に、いつも誤字脱字が多く上司がイライラしているにもかかわらず、毎回変わらぬ間違いだらけのレポートを出してくる人。また、自分がミスしたにもかかわらず自ら非を認めて謝らないばかりか、さも相手に落ち度があったかのように相手を非難する人。さらには基本的な仕事が出来ていないのに、売上さえ上げれば周りから認められると勘違いしている人。はたまた実際にやりもせず成果を全く上げられないのにいつも大口ばかり叩く人。このようなまず努力して自らが修正しなければいけないことを等閑(なおざり)にしたまま、他のことばかりを気にして頑張ろうとする勘違い人間が、あなたの周りにはいないでしょうか?そういった人が、仮に後輩にもっともらしいアドバイスをしていたり、場の雰囲気を盛り上げようと社内の宴会で頑張っている場面を見かけたとしても。。。あなたは単純にはその人を素直に認めることが出来ないのではないでしょうか。

 

人間関係を好転、あるいは構築するためには、まずは相手が不快と感じている原因である、その踏んでいる足をどけることが大事。つまり相手が最も不満に感じていること、相手が求めていることが何かを理解し、まずはそれにきちんと対処してから他のことに取り組む。これが良好な人間関係を作り上げる上で非常に大事なことだと思います。

もちろんその前提としては、相手が自分に対して持っている不満や求めていることが何かを知ることが大事ですが、そのためには『気付くアンテナ』を高く持つ必要があります。しかし何をやってもなかなか関係が変わらない、原因がわからない、そんなこともあると思います。そんな時は、無理して一人であれこれ悩まず、相手に自分の踏んでる足が一体何なのかを率直に聞いて教えてもらうことも決して悪いことではありません。

このようにして相手の求めていることをしっかりクリアした上で、他の仕事にもしっかり取り組めるようになれたとしたら。。その人はおそらく自分でもびっくりするくらいの今までとは見違えるような高い評価を受け、相手とも素晴らしい人間関係を結ぶことが出来るようになるのではないかと思います。

(次号へ続く)

 コラム一覧に戻る

お問い合せ・ご相談などお気軽にどうぞ