President's view

代表取締役 桐岡俊樹

『残念な人(前半)』

日頃は大変お世話になり有難うございます。また毎度ビプロスニュースをご愛読頂き有難うございます。
アベノミクスの名のもとに、安倍政権は札を刷りまくり、また更なる借金を重ねることによって100兆円もの予算を執行しながら、結局実のところは経済回復を実現できていません。さらに中国経済の減速感から、今後の世界経済の停滞は容易に予測ができ、円安と消費増税で足元の内需に打撃が広まる中、日本には更なる景気後退の足音が迫っているような現状です。
そのような中、遡る8月11日、約2年ぶりに川内原発が再稼動しました。集団的自衛権の問題もしかり、それぞれの立場や考え方の違いから賛否両論あると思いますので、ここでは私見は控えさせて頂きますが、今回の原発の再稼動から感じたことに若干触れてみたいと思います。
今回の再稼動にあたり、政府は、原子力規制委員会が安全と言っていると説明し、一方、原子力規制委員会は、決して安全と保証したわけではなくただ「審査に通過した」と答えるのみ。また九州電力は、「国が責任を持つ」と言うばかりで、結局はすべての機関が責任回避するための発言に留まっており、相変わらずの無責任体制そのもの。
福島で起きたことが他で起きないと誰が言えるのか?また日本の領土を虎視眈々と狙う某国がこの原発に向けてミサイルを撃ちこんできたらどうなってしまうのか?
このような数多の不安が残る中で、彼らは誰ひとりとして再稼動について何も合理的な説明をしないばかりか、前回の原発事故についても世論の風化を待っていればそのうち忘れ去られるだろうといった無責任な姿勢。
二年近くただの一基も原発が稼動せずに電力が回っていた現実から考えても、これらのリスクを背負ってまで再稼動させる必然性がはたしてあるのでしょうか。確かに経済的な面でのメリットは無いとは言いません。しかし、今回の原発の再稼動までの一連の経緯を見ている中で、改めて強く再確認させられたのは、この国では、国民の生命よりも既得権益こそが最も優先されるものであり、国民は常にそれらに食い物にされているのだということ。
またこの10月からは、いよいよ来年からのマイナンバー制度の導入に向けて社会全体が動き始めましたが、これにより将来的には法人は無論、個人一人一人に関する情報がすべてガラス張りとなり、社会保障の削減も含め、国民すべてが国の都合のいいように管理、支配される世の中になっていきそうな不穏な空気すら感じずにはいられません。
いずれにせよ、時代の変化のスピードは益々速くなっており、今の日本は、着実に自分の身は自分で守らなければ誰も守ってはくれない時代になってきている気が致します。そのような状況の中で、実際に大変な事態になってから後になって、『そんなこと知らなかった!』などと後悔しないためには、まずはひとりひとりが情報へのアンテナを今まで以上に高く持ち、変化に対応する術を身に付けていくことが求められていると思います。
そして一方では、望まざる変化に対しては『しかたないや』などと諦めたりシラケたりすることなく、自分の意見をしっかり発信していくことが益々重要になってきていると思います。このことは自分の身の回りの職場などの環境においてはもちろんですが、社会に対しても同様です。『ひとりひとりが持つ力は微力かもしれないが、無力ではない。』選挙権の保有年齢も18歳になりました。行っても何も変わらないから選挙には行かないという声もまれに耳にしますが、行かないということは単純にすべての案件に賛成投票することと同義。せっかく与えられている国民としての権利を行使しないのはもったいないと思います。それこそ前述した原発に関わる各機関と何も変わらない、無責任そのものだといえるのではないでしょうか。

さて、それにしても毎年同じように感じることですが、とにかく時の経つことの早いこと早いこと。早くもビプロスニュースも今号が年内最後の発刊となりました。
年末を控え、皆様におかれましては戦略や戦術をあれこれ考えてらっしゃると思いますが、毎度毎度同じような反省を繰り返さぬよう、お互い最後まで気を抜かずに頑張っていきたいですね!

さて、今年も色々な場面で、もったいないなぁ、あるいは残念だなぁと感じる人の言動を目の当たりにすることがありました。反面教師という言葉がありますが、年末にあたり、自分への戒めと共に、来年こそは素晴らしい年に!という願いを込めて、今号と次号と、2回に分けて『残念な社員にならないために』というテーマで話を進めて参りたいと存じます。お付き合いのほどよろしくお願い致します。
残念な人その1。

先日あるサロンの店長から、『叱らなければいけないことは分かっているのですが、私は叱ることが苦手で、スタッフがやるべきことをやらなくても注意したり叱ったりすることが出来ないのです』という悩みの相談を受けました。
聞いてみると、そのサロンでは、例えばミーティングでお客様にサンキューレターを全員で送ろうと決めたり、キャンペーンを企画したりしても、2、3日続けばいいほう。結局は続かず、目に見える成果につながったことがただの一度もないとのことでした。反省会をしても、いつもスタッフの口から出てくるのはこんな言い訳ばかり。
『指示されてないので出来ません』『教えてもらってないので出来ません』『それは苦手なので出来ません』あるいは、『やろうと思っていたのですが、忙しくて出来ません』などなど。最後は『次回は決めたことをしっかりやろう』とスローガンを掲げるだけで、結局は同じことの繰り返し。
出来ない言い訳を並べ立てて、やりたくないことをやらないで済ますために自らを正当化するような態度。こういった状況、あなたの周りで目にしたことはないでしょうか?
たとえ指示されていなくともやるべきことは自分から聞いてでもやること。教えてもらったことがなければ教えてくださいとお願いすること。得意でなくてもまずは努力してみること。決めたことは約束期限までにやること。もし出来なければ事前に報告すること。少なくとも報酬を受け取っている人をアマチュアと分けて、『プロ』と呼ぶならば、こんなことは、プロとしては出来て当たり前のこと。これはモチベーション云々ではなく、それ以前にそもそもプロ意識が欠如している問題だと言わざるを得ないことなのではないでしょうか。
そのような社会人としての基本が出来ていない人に対して、良い雰囲気が壊れるのが不安だとか、仕方ないからなどと甘やかしてはいけません。実は自分が嫌われたくないだけなのに、優しいふりをして甘やかしていると、後々必ず取り返しのつかない大きな問題となって自分に降りかかってくるものです。だからこそ、こういった言い訳気質のスタッフに対しては、見逃さずに徹底的に『教え込む』ことが大事であり、時としては当然思いっきり叱ることも大事なことです。
その店長に、こんな質問をしてみました。『もし、あなたがスタッフに対して叱るべきことを叱れなかったらクビにするとオーナーから言われたらどうしますか?明日から収入ゼロですよ。』店長は少し考えた後に、『叱ります』と一言。結局は出来ないわけではなく、追い込まれれば出来るのです。その店長は、叱ることが出来ないのではなく叱りたくないだけなのです。やりたくないことはやらないけど、職を失うのは困る。これは、ただの自分勝手なワガママなのではないでしょうか?
そう考えると、実は本来叱らなければいけない時に『叱れない』この店長も、『出来ない』と言い訳するスタッフも根っこは同じ。自分が出来ないのではなくやりたくないからやらないことを正当化するための言い訳をしているにすぎません。
やりたくないことと出来ないことをごちゃまぜにし、ごまかしているケースがいかに多い事か。
本来、やりたいとか、やりたくないは関係なく、やるべきことをやるのが仕事であり、社員としての責任。これがプロとしては当たり前のことであり、やらずにごまかせると思っているのは本人のみで、周りからすると実はすべてお見通しのこと。プロ意識を持てない残念な社員の特性の一つとして感じさせられた一件でした。

周りに目をやると、入社時には『期待の星』あるいは『未来のわが社の宝』などともてはやされた新人たち。彼らも、はや入社後数か月が経ち、ずいぶん仕事に慣れてきた頃かと思います。皆様のサロンでも、新人を採用されたサロン様においては、そろそろ伸びる人と伸びない人の差が出てきた頃なのではないでしょうか?
その中で、すでに上記のような『残念な人』になりつつある新人はいないでしょうか?もし、いるとおっしゃる場合は、今のままでは、『期待の星』だったはずが、数年後にはただの『いるだけ社員』になってしまいかねません。
そうしないためにも、やらない言い訳は決して見逃さない。違和感を感じたらその場で注意する。年末に向け、幹部や先輩たちが今一度新人に対して関心を持って接して頂きたいと思います。

繰り返しますが変化のスピードは益々速くなっています。昨日まで通用した自分が、明日も時代に受け入れてもらえるとは限りません。昨日までは大目に見られていたことが、明日は許されなくなるかもしれません。
新人だけではなく私たち自身も、やらない言い訳をすることなく、常に『まだまだ』の気持ちで進化し続ける努力を忘れてはならないと思います。

残念だなぁと感じる人。他にもいくつかあります。それは次号で改めて述べさせて頂きます。

…次号へつづく…

最後に、本年頂戴しましたご厚誼に感謝申し上げますとともに、来年があなたにとってさらに素晴らしい年となりますことを心よりご祈念致し、本年の締めのご挨拶とさせて頂きます。
本年も社員共々大変お世話になり、有難うございました。良い年をお迎えくださいませ。

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