President's view

代表取締役 桐岡俊樹

『今の日本を弱くしているもの!? Part2』

いつも大変お世話になり有難うございます。また、毎度 ビプロスニュースをご愛読下さいまして重ねて御礼申し 上げます。

政府やマスコミからは、相変わらず取り繕ったような、情報操作なのではないかとも疑いたくなるような景気のいい話が日夜報道されておりますが、円安により消費者物価が上昇し、更に4月からは消費税がアップしている中、現実では実質賃金が大きく目減りしており、各家庭での消費支出の減少が止まらず、到底国民の生活が良くなっているとは思いがたい状況です。

そのような中、当業界でも従来にも増して業績の二極化が進んでおり、伸びているサロン様と停滞しているサロン様との差が益々激しくなっていると感じます。特に、高齢少子化、人口減少の社会にあって、スタッフを集められないサロン様が増加し、そういったサロン様の悩みは日々増している現状です。人材募集に大金をかけても全く問題解決に至っていないことを鑑みると、今こそ自らが変化することが求められており、自サロンを見直す大きなチャンスの時なのではないかと感じます。

今の美容学校では、ネイルやまつ毛エクステなどが新たに授業で取り入れられ、未来の新人たちが美容業界に入る目的や、求めている内容にも変化が見られるようになってきています。これらの変化を真摯に受け止め、サロンにとっての大きく飛躍できるタイミングを逃さないことが大事な気が致します。いずれにしても、いつ来るかも知れぬ状況の好転を期待して待つのではなく、常に状況が悪化し続けることを想定して経営をすることが肝要な時期なのではないでしょうか。

前回は、『日本を弱くしているもの』をテーマに、依存体質が生じる環境からの転換の必要性をお話させて頂きました。

そして今回は、前回に引き続き同じテーマで、もう一点
『競争心を排除することの愚』
について話を進めさせて頂きます。

最近の若者(なんか年寄りのようで嫌いな表現ですが(笑))は、がつがつしていないなどといわれます。それを象徴するように、最近の運動会では、徒競走でも順位を付けることを避け、全員同時に手をつないでテープを切ったりする学校もあるそうです。これこそが『平等』であり『公平』だとでも思っているのか、この競争を否定する教育自体に大きな違和感を感じずにはいられません。
人間は、協調の社会の中にあっても、『~さんには負けたくない』などといった競争意識を持つことで、自らをより高い位置へ到達させたいという意欲が涌くものであり、逆にこれがないと、『楽だからこれくらいでいいや』とやらない言い訳が頭をもたげ、これを続けていると、次第に本来持っているはずの能力さえもどんどん劣化させてしまいかねません。

そもそも、学校の中では通用する『平等・公平』も、一歩社会に出たら同じ意味では全く通用しないのは自明の理。ちなみに学校の中では当然のように通用する『贔屓(ひいき)はいけないもの』と真っ向から否定される『エコ贔屓』。しかし社会に一歩出たら、お客様からの支持も、仲間からの支持も、全てがエコ贔屓の世界のはずですよね?
こういった『みんな仲良し、みんな一緒』といった競争を排除する風潮は、個人の能力の劣化に留まらず、組織の劣化、硬直化を招いてしまいかねません。

だからといってこれは仲間を絶対ライバルとして敵視し、蹴落とすことがいいと言っているのではありません。 同じ目的に向かう協調を大前提としながらも、その過程において現時点でのお互いの能力の差を明確に認識することの大事さと共に、足りないことはお互いに補い合う努力をすることの必要性、そして一方でお互いの個性を認め合い励まし合う環境を創っていくことの大切さ、この個人差を認めない環境には成長は生まれないと思うのです。 そう考えると、今こそ単なる『競争』ではなく、共に走り成長し続けるための『共走』が求められているのではないでしょうか? そしてそれが組織発展の土台となるのではないかと思います。

ところで、最後にひとつ。あるサロン様での話から感じたことを書かせて頂きます。

最近の新人達の中で、出世したくないという人が増えていると聞きます。役職がついた先輩たちを見ていても将来に夢を持てないとか、待遇の割に責任ばかり押し付けられて割が合わないとか、色々と役職者になりたくない理由(言い訳)を述べる方がいますが、私は非常にもったいないことだと思います。

人の行動を止める多くの理由は『恐怖』。本音は、人それぞれですから言いきることは出来ませんが、役職が上がることを忌避する多くの原因は、自分は出世できないかもしれないという恐怖や不安があるがために、どうなっても恥ずかしくない自分を演じるために事前に予防線を張っているだけか、もしくは自分だけが特別に目立った時の孤独感に対する不安だけなのではないかと勘繰ってしまいます。

しかし、私は組織にいる以上は、どんな組織であっても常に上の役職を目指さなければいけないものだと思います。なぜなら、役職には責任は伴いますが、同時に多くの権限も付いてくるものだからです。権限が増えていけば、社内での発言力や決定権も増加し、あなたの力であなたが望む姿に会社を変えることも夢ではなくなります。 またそれによって、あなたを贔屓してくれる大事なお客様然り、あなたを支持してくれる後輩や仲間達、あるいは家族然り、あなたが彼らにしてあげられること、与えられることが、少しずつでも増えていくのではないでしょうか。あなたを支えてくれている周りの方たちは、そんなあなたを必ず喜んで下さるはずです。『誰かがやってくれるだろう』と他人に期待したり、『この会社は自分の考えや感覚と合わないから、適当に仕事だけしていればいいや』などと冷めた感覚を持たずに、たとえ失敗したり、バカにされてもいいと腹をくくり、『自分が大事な周りの人を幸せにする』『居心地が良い環境にするために自分が会社を変えてやる』位の気概と勇気を持って仕事に取り組んでみて下さい。それをやってみたら仕事って益々面白くなると思いませんか?

まさに今は、日本という国が浮沈をかけてもがいている時期です。ちょっと間違えればハイパーインフレを招き、旧ソ連などの二の舞となりかねない状況です。

しかし仮に日本がどんな時代になったとしても、我々はまずは自分たちの目の前にあることを愚直にそして前向きに歩を進め、自分たちと、そこに関わる周りの人たちがより楽しく、より豊かになっていくことを必死に考えることに注力するしかありません。なぜなら、日本国が良くなるということは、結局は我々一人一人、あるいは会社一社一社の発展の和こそが、日本全体の成長の和となるものなのですから。

そうこうしているうちに、今年もまもなく終わってしまいます。

弊社の今年のテーマ 『今日はもっと何か出来るはず』。この気持ちで残り半分、私も本気で前に進んで行きたいと思います。

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