President's view

代表取締役 桐岡俊樹

『質の進化に挑戦!?』

いつも大変お世話になり有難うございます。また、毎度ビプロスニュースをご愛読下さいまして重ねて御礼申し上げます。

真偽のほどは別にして、世間ではマスコミによって景気のいい話が盛んに喧伝されておりますが、一部の業界や 大企業を除いてはまだまだそれを実感するには程遠く、 そればかりか、一方では生活保護の受給者が過去最多となったなどというニュースを見ると、生活の質の二極分化が日を追うごとに進行しているように感じます。

また本年4月からは消費税も上がることなどを考えると、個人消費の動向に大きな影響を受ける当美容業界は、まだしばらくはトンネルから抜け出すのに時間がかかりそうな、そんな危機感を覚えずにはいられません。

すべての事象は必然的に起きるという自然の摂理に立って考えると、このような先行き不透明な時代に身を置く中で、今までと同じことを同じやり方で、ただ繰り返していては、より豊かな未来の実現は、ほど遠いだろうと思わざるをえません。

例えば昨年の目標を達成出来ずに終わってしまった場合に、その原因を真剣に検証することもせず、新しい年度に入ったからといって単純に新しい目標を掲げ、お決まりの『今年こそはやるぞ!』と気合を入れたとしても、それが意味を持つとは思えません。改めて昨年の反省をしっかり行った上で、それを元に徹底して継続することと、勇気を持ってきっぱり止めてしまうこと、そして場合によってはすべてをリセットして新たに始めること、これらを明確に区別し、自らに絶対的な負荷をかけていかなければ、結局はまた来年も『今年こそは!』の繰り返しになってしまうのではないでしょうか。

今回は、そういった目標の未達成などという負を繰り返さないために、仕事への取り組む姿勢という観点から、『質の進化に挑戦』というテーマで三つのご提案をさせて頂きたいと思います。

『いつも仕事に追いかけられていて、毎月バタバタ。ストレスは溜まるし、結局計画を立てても成果といえるまでには遠く及ばない』

あなたは、このように感じたことはないでしょうか?

まずはこの『バタバタ仕事』。今月やるべきことが今月のスタートギリギリになってからようやく決まり、準備が整う間もなく、とにかくとりあえずスタートを切ってしまう。当然お客様へ事前告知をする余裕などなく、出たとこ勝負のやっつけ仕事になってしまい、結果を出そうと躍起になるもなかなか成果には結びつかない。 またハードルの高さから、端からあきらめ気分半分といった気持ちがスタッフ間にもあるため、皆が本気で取り組まない。

弊社も含め、ほぼ毎月これと似たようなサイクル、あるいは雰囲気で仕事が流れてしまっているサロン様が決して少なくないのではないでしょうか。

もちろん毎月、事前準備をしっかりされているサロン様も少なからずあるとは思いますが、美容業界の中では、そもそもお客様への事前告知という行為をあまり重要視していないサロン様が多い気が致します。お客様の平均来店サイクルが、仮に2ヶ月だとすると、少なくとも計画したキャンペーン提案や企画の告知は、2ヶ月前にはすでにスタートしていなければ全部のお客様には伝わりません。お客様は、サロンからの事前告知があることによってその提案や企画が楽しみになり、それが次回の来店動機につながることもあるはずです。それがオーナーや幹部の方が常に目先のバタバタ仕事を続け、スタッフに対して場当たり的なクロージング(成果)を求めていると、お客様に対して伝えたいことが伝わらないばかりか、スタッフに対してもストレスを溜めさせる原因になりかねません。

未来はすでに起きているなどと言われますが、『来月の目標達成の可否は、既に今月中には決まっている』ものだといっても過言ではありません。

まずはひとつ目のご提案。それは、今やっていることをひとつでも二つでも常に仕事を前倒しする、『前倒しのリズム』を構築していくこと。
そう考えるともう既に3月の駆け込み需要への対策、 4月の消費税導入による需要減対策などを含め、既に手を打っていかなければいけないことが山のようにあるということに気付かされるはずです。

そして二つ目は、『仕事の中身の転換』のご提案。 キーワードは『今日は昨日よりもっと何か出来るはず』。中には、日々驚くほどの進化を続けているサロン様も多々あるとは思いますが、一方で相変わらずの変わり映えしない同じ作業、同じ日をただ繰り返しているだけのサロン様も少なくはありません。 営業面でいえば、同じお客様に、同じようなことしか提案していない。メニュー然り、販売然り、はたまた日常の接客時の会話然り。人は得てして自分に甘いもの。その仕事を始めて3、4年もすると仕事にも慣れ、一通りの仕事が出来るようになるため、それで満足してしまい、そこからの向上、進化を考えなくなってしまいがち。結果、そのレベルで成長が止まってしまうことがいかに多いことでしょうか?

『現状維持は後退と同義語』です。

まずはもう一度、半年後、一年後に、自分自身が、あるいは自分のサロンがどうなっていたいか、どうなっていたら自分として成果があったと胸を張って言えるかを考え、その上で、昨日より今日、今日より明日と、スタッフ一人一人が常に日々の仕事の質の進化を意識し、そのためにやらなければいけないことをひとつひとつ着実に行動に起こしていく。たとえ多くなくても、たった一つでもいいと思います。それを徹底して推進することが出来たら、一年後のあなたのサロンは大きく変容していると思いませんか?

そして、個人的にはこれこそが最も大事なことだと思うのですが、三つ目のご提案。それは『常に全力を出し切ること』。  せっかくオーナーや幹部の方が、『これを徹底しよう!』と決めても、人はよく後になって、『頑張れば出来た』とか『(出来るのだけれども)時間がなくて出来なかった』、あるいは『教えてもらってないからやり方が分からなかった』などと、やらなかった言い訳をしがちです。これは結局は面倒だったり、苦手だったりが原因で自分がやらなかっただけのこと。

言い訳を片手に、また面倒くさいことへの労力をセーブし、力の出し惜しみをしていると、そのうち自分の本当の持つ力の限界が分からなくなってしまい、いつしか自分が力を出し惜しみしていることにも気付かなくなってしまいます。そして以前は『やれば出来た』はずの事が、そのうち、やっても出来なくなっていることにも気付かず、そうこうしているうちに、本来持っているはずの限界をはるかに下回るレベルにまで能力が低下し続けてしまいかねません。

常に全力でやり続けること、どんなに小さなことや当り前のことであっても本気で対応し続けること、これこそが現状のサロンのスタッフ全体が持つ限界を上へと押し上げ、サロンの能力をさらに筋肉質なものに変化させる上で重要不可欠なことなのではないでしょうか。

人口の減少や人口構造の変化、あるいは若手の美容師人口の減少や美容室自体の業態変化(面貸し等の増加等)、さらには社会保険への加入問題や消費税アップ等々、我々を取り巻く環境が刻々と変化している中で、今まではスターなどといわれる個人のスーパーパワーがあれば何とかなったことも、これからは真の強いチーム力がなければ乗り越えられないことが益々増えてくると思われます。その場しのぎの場当たり的な対応を続けていては、もはや先行きは保障されません。中には『東京五輪までは景気が良くなるだろうから心配などいらない』と仰る方もいますが、仮に一時それに救われたとしても、その後の保障はありません。

経営をする上で、非常事態に陥ってしまうと手を打てることは限られてきてしまいます。もし厳しいながらも、なんとか平穏な日々を送ることが出来ているのであれば、今こそが、会社力を盤石なものに転化させていく最高のタイミングのような気がしてなりません。

あえて今こそ最大限の危機感を抱き、先を見据えて、勇気を持って『質の進化』に挑戦する、私個人的にも『今年こそは!』、そんな一年にしたいと考えております。

ところで、あなたは今年は何に挑戦されますか?

 コラム一覧に戻る

お問い合せ・ご相談などお気軽にどうぞ