『先読みする感性は状態が悪くなってからでは育たない?』
いつも大変お世話になり有難うございます。また、毎度ビプロスニュースをご愛読下さいまして重ねて御礼申し上げます。
未だ震災からの復興が遅々として進んでおらず、不便な生活を余儀なくされている多くの方々を思うと、政治には議論ばかりでなく、すぐにでも実際にアクションを起こしてほしいと期待するばかりですが、そんな話などは二の次とばかり、ついに来年からの消費税増税が決定しました。
また『アベノミクス』も実際には掛け声ばかりで、その効果には『?』マークが付くような内容も数多く、今後の日本経済は益々不透明感が増している状況にあるのではないかと危惧せざるをえません。
しかし、そのような中でも先日2020年に日本(東京)でのオリンピック開催が決定したことは、消費意欲に多大な影響を受ける美容業に携わる一個人としても、まずは明るいニュースとして、素直に喜びたいと思います。おめでとうございます!
さて今回は、『先読みする感性は状態が悪くなってからでは育たない』をテーマに話を進めさせて頂きます。
過日、あるサロンオーナーが、『ウチの幹部は、クレームやトラブルの処理は上手に出来るのに、それを未然に防ぐことが出来ないんですよね』と嘆いているのを耳にしました。
後悔先に立たずとはいっても、出来ればクレームなどは起きないに越したことはありません。また仕事上で起きるクレームやトラブルの多くは、後になって考えると『あの時点でこういう風に手を打っておけば起きなかっただろうな』と思うことが少なくありません。
特にリーダーは、上手くいっている時にこそ、来るべき困難に目を向ける力が求められているのだと再認識した出来事でした。
また、事業が上手くいっている人に、『何でそんなに業績がいいのですか?』と尋ねると、明確にその要因を熱く語って下さるオーナーがいる一方で、『う~ん。なんでだろうね?』と、あいまいな返答しか出来ず、勢いだけで経営しているのでは?と思わざるをえないオーナーも少なくありません。
それでは、どうしたらこのような先読みの感性、つまりクレームやトラブルを事前に察知しこれらを未然に防ぐことが出来るようになるのでしょうか?
一流の野球選手はバッティングが好調な時は、ボールの縫い目さえ見えるといいいますが、そんな選手でさえ、いきなり不調に陥ることがあります。そしていったん不調に陥ると、どこをどう変えてもなかなかスランプから抜け出せずにいることがあります。
またゴルフだかゲートボールだか何をやっているのか不明な、私のようなアマチュアゴルファーでさえ、調子のいい時は『チャーシューメン(ちょっと古すぎですね!?)』のリズムを意識しなくても、不思議とビックリする位の良いショットを連発できる時があります。しかし一旦当たらなくなると、セカンドゴロにショートゴロ。時にはキャッチャーフライまであります。そんな時、部分部分の悪い箇所を探して修正しようとしても、なかなか修正できません。
我々人間は、えてして上手くいっている時には、あたかもその状態が永遠に続くものと勘違いし、つい脳天気な気分になってしまい、あまり物事を深く考えたりすることなく日常を過ごしてしまいがち。
そして突然上手くいかなくなったりすると、あわてて反省して対策をあれこれ必死に考えたりすることが多くはないでしょうか?しかし、悪い理由は一つではなく、また悪い結果は要素が複合的に絡まって起きているケースが大半のため、なかなか元には戻らない。そもそも調子の悪い時には、全体を俯瞰する余裕など持てないもの。だから、悪いと感じてから気になった部分を修正しようとしても、そう簡単には成果につながらないものなのです。
因果応報という言葉がありますが、結果には必ず原因があります。時には良いことにはラッキーもあるかもしれませんが、悪い現象は間違いなくすべてが、『必然』で起きているもの。
そう考えると、やはり悪くなってからではなく、なんとなくうまくいっている日常の中にこそ、『なぜいいのか?どこがいいのか?』この良い理由を探し出すヒントが隠れており、それを見出す習慣こそが重要になってくるのではないでしょうか。
良い理由、これは真に奥が深いもの。しかしこれを突き詰めてそれを自分のフォームの基本、スタンダードとして確立できたならば、ちょっとずれが生じた時でも、すぐにその変化に気付き、そしてどこを修正すれば良いかがすぐにわかるようになってくる。そしてそれを明確にすることが好転へのきっかけを掴むための最短の近道になるはずです。
これは仕事も同様。成果が上がらなくなってからなんでだろうと悩んだり、問題が起きてからどうしようかと考えても、多くは全体像が見えていないため、つい近視眼的な捉え方をしがちになり、結果、なかなか問題を修正できなかったり、解決に多くの時間がかかったりしてしまいます。
つまり余計なトラブルなどを引き起こさず、それを未然に防げるようにするためには、悪くなってからでなく、精神的に余裕がある、比較的上手くいっている時にこそ、上手くいっている姿が常時イメージ出来るようになるまで、現状分析や反省を繰り返し繰り返し行うことが重要だということ。
そしてこの良い状態のイメージが意識出来るようになれば、仮に前述したクレームやトラブルが発生しそうな、状況が暗転しそうな時でも、事前にそれを察知し、現状修正が出来、結果として問題を回避できるようになるのではないでしょうか?
『今は問題なく上手くいっているけど、このままのやり方でいくとまずいことになってしまうかも?』と先読み出来るこの感性は、今後の会社経営にとって益々重要となる課題です。そのうち悪くなった時に考えればいいやと先送りし、身動きの取れない状況に陥ってしまってからあたふたするのでは手遅れ。普段から現状を把握し、少しでもずれが生じそうな時には、いち早くそれに気付き、まずい状態になる前にすぐに手を打つ。これを繰り返し継続する習慣を持つことが、良い状態を保ち続けるための先読みする感性を磨くコツなのではないかと思います。
ところで、読者の方の中には、最近はずっと業績が上がっていないから、良い時の分析なんか出来ないよ!などと投げやりな考えを持つ方がいるかもしれません。もしそう感じたとしたら、それは間違いなくただの思いこみだと思って下さい。なぜなら仮に今がどんなに厳しい状況だったとしても、決してお手上げ状態なわけではないはず。
あなたのサロンには、例えオーナーご自身にとっては満足できる数ではないとしても、あなたのお店が大好きで通って下さるお客様が多数いて、現実に継続して営業してらっしゃるのですから。そう考えると現在の日々の営業活動の中にも、良い状態を生み出してくれるはずの、大事にすべき素晴らしい一瞬がたくさん存在しているはずと考えられます。
いつ来るかわからない好転をただ漠然と期待するのではなく、現に日々目の前で起きている好転のキッカケとなりうる行為や出来事を見逃さない高いアンテナを持ち、そしてそれをひとつひとつ習慣として積み重ねていくことが、閉塞感漂う現状を打破する最善の方法なのではないでしょうか?
経済不況などといわれて久しくなりますが、経済の不況よりもよほど性質(たち)が悪いのは『心の不況』。リーダー自身が心の不況に陥ってしまうと、会社から元気はどんどん消えていってしまいます。
『なぜだかわからない…』と言ってるのではなく、具体的に『これ』をしているから今の状態なのだといえるよう、すべての原因と結果の関係を常に明確にし、その中で良い理由を自らの日々のスタンダードにしていくことが出来たら。。社会がどんなに不透明な状況になったとしても、不安などどこ吹く風。あなたの会社だけはいつでも元気な状態を保ち続けることが出来るのではないでしょうか!?