President's view

代表取締役 桐岡俊樹

『行動力の差が会社力の差』

日頃は大変お世話になり有難うございます。また毎度ビプロスニュースをご愛読頂き有難うございます。
 さて今回は、以前弊社のミーティング内で討論した内容を元に思うところを記述させて頂きます。では質問からスタートします。
 人の言動に関して、そのパターンには4種類あると思われますが、以下の中からあなたが好ましいと思う順に順位をつけるとしたらどういった順番になりますか?個人として好きな生き方という視点でなく、あくまで業務遂行上の視点でお考え下さい。 

①有言実行 ②有言不実行 ③不言実行 ④不言不実行。
 あなたはどういった順番をつけましたか?
 言わずに黙って成果を出す③『不言実行』を一番にした方も少なくなかったのではないでしょうか?『不言実行』は、ご存じの通り論語の一節でも推奨されており、また個人の美徳としても好まれる傾向が少なくない行動パターンかとは思います。しかし、あるスタッフが良かれと思って水面下で進めていた動きが、突然、それも一気に想像もできないような大きな成果として現れてしまった場合、あなたの会社は即それに対応できるほどの対応力を持っているでしょうか?これは、途中途中で経過の中間報告が上司になされていればもちろん素晴らしいことで、一見格好よさそうにも感じますが、経過情報の共有がなされていない中では非常に危険な行為なのではないかと危惧してしまいます。なぜなら、例えばせっかく有難いオファーを得たとしても、会社側にそれに対応できるキャパがなかったり、あるいは準備がなされていない場合、かえってお客様や周りからの信頼を失ってしまいかねないというリスクが潜んでいるからです。
 やはり、周りにやりたいこと、やろうと思っていることを堂々と宣言し、言ったからには実践する、『有言実行』がベストな行動パターンなのではないでしょうか。
 しかし人間は宣言することに対して躊躇しがち。なぜなら宣言したのにも関わらず、結果出来なかった、あるいはしようとしなかった自分に対して正当性、つまり言い訳を主張したがる生き物であり、そのためできないことは逆に言わないほうがいいと思う癖があるからです。しかし他人にあえて宣言することで、自らを触発し、やらざるを得ない環境に自分を追い込むことしかり、あるいはやろうと思うことを周りに知ってもらうことで、その目標をより効率的に達成させるためのアドバイス含め周りの協力体制が生まれるなど、人間が意志の強くない、そして継続が苦手な生き物という前提からすると、成果を出すためには間違いなく有効な行為なのではないでしょうか。そう考えれば、一人一人がいちいち出来なかった場合の言い訳などを考えてチャレンジする行動を躊躇するのではなく、それよりもまずは自らが堂々とやってみたいことを積極的に『宣言』し、その達成に向け真剣に向き合い、努力を重ね続ける姿勢こそが美徳なのだという個人の意識作りと雰囲気作りが、会社の中において必要なのではないかと思います。出来なかった時は真摯に反省し『ごめんなさい』と心から謝ればいいだけなのです。
 そのためには、まずはオーナーや幹部自らが率先垂範、やりたいことをスタッフの前で堂々と宣言し、同時にその行為を素晴らしいこととして推奨することが肝要です。そしてその際、宣言したにもかかわらず行動を起こさなかった場合にはその姿勢を厳しく非難すべきですが、必死に努力しても出来なかった場合には、結果ばかりに目くじらを立てて責めるのではなく快く寛容に受け入れる。そんな環境作りができたら、スタッフ皆がさらに伸び伸びと前向きに仕事が出来るようになるのではないかと思います。
 では逆に最悪な行動パターンはどれでしょうか?いうまでもなく②か④かになると思いますが、私は②の『有言不実行』だと思います。
 不言不実行は、決してほめられはしないでしょうし、また時としてどうでもいいダメ人間のレッテルを貼られてしまいかねないとは思いますが、プラスもない代わりに大きなマイナスもありません。
 一方、体裁や耳触りの良いことを言うだけ言って、それに向けて努力することもせず、端からやろうともしないということは、上述したように大いに叱らなければいけない対象であり、すべてを裏切る行為と言っても過言ではない気が致します。我々が日々身を置いているサービス業は『信用と信頼』に基づいて成り立っています。業に徹するという言葉がありますが、美容室であれば美容室として、ディーラーやメーカーであればディーラーやメーカーとしての為すべき『業』があり、これを地道に実践することで初めて生まれる信用や信頼。この信用信頼を得ることこそが、実は会社が発展するためには最も大事なこと。
 有言不実行は、『やる』と断言したのにも関わらず、なんらかの言い訳をつけていつまでも行動を起こさないと、仕事上でも人間関係上でも、期待だけさせておいてそれを裏切るという、最も大事なはずの信用や信頼を一気に損ないかねません。そう考えると、大きなマイナスを生じさせるという意味では最も避けなければならない行動パターンなのだと思います。
 そうはいっても『言ったことをやる』ということは、言葉ほど簡単なことではありません。身にしみてお感じの方も多いと思いますが、この当たり前を当たり前にやるということは、実に難しいことですよね?
 しかし、法人の75%強が赤字に陥っているといわれる現状の中で、今は決して景気の良さが力の差を埋めてくれるような良き時代とは全く異なり、会社同士の競争力の差は、戦略の差でなくまさに行動力(実行力)の差。要は決めた事をやるかやらないか、この行動力の差異こそが会社力を決する時代といっても過言ではないでしょう。
 であれば、当たり前の事を当たり前にやることを難しい事として諦めるのではなく、社員一人一人の成長の和がそのまま会社全体の成長と考えるならば、社員全員が今すぐ出来ない言い訳を捨て、小さな事でもいい、『有言実行』を一つ一つ重ねていく事が求められているのだと思います。
 以前、ビプロスニュースで『本気』をテーマに記述させて頂きましたが、行動することの大事さを再認識し、人前でやりたいことは堂々と宣言し、さらに言ったことは『本気で』あきらめずにやり通す気概を持ちたいものです。
 最後になりましたが、皆様には本年も大変お世話になりましたこと、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
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