人こと

副社長 安孝幸

『価値観というサングラス』

電車の中で日能研の広告を見かけることがあります。2月に見たそれはたいへん興味深いものでした。

中学入試の国語の問題には、全ての人間が「眼鏡」をかけているのだと言う様なことが書かれていました。加えて、自分がかけている眼鏡はどの様な色か、また度数が何度なのかは自分では解らないと。この問題を読んで感じたことをひとこと失礼致します。

何時かけたのか解らない、外す事の出来ない眼鏡をかけている我々は、自分がグリーンのレンズの眼鏡をかけているのか、オレンジのレンズの眼鏡をかけているのか解りません。皆が自分だけは透明のレンズの眼鏡をかけているつもりでいるので、相手が何色の眼鏡をかけているのか解ったつもりでいます。自分が見た感覚と相手から指摘されたものが違う場合、自分の感覚や意見を優先にしてしまいます。人間は神様ではありませんので全て相手が正しい、自分は間違っている、などと思うことは出来ません。ただ、自分がカラーレンズの眼鏡をかけていることは知るべきなのでしょう。

お客様のところにお邪魔をして、最近の情報や売れている商品の話をすると「その話は聞いてないよ」と言われることがよくあります。帰社して担当者に○○オーナーがご存じないことを伝えると、「話したのですが・・・」と言ってくる場合があります。「聴いていないよ」は伝わっていないと言うこと。仮に話したとしても伝わっていなければ、話していないのとまったく同じ事になってしまいます。本当は興味をもってくれそうな話なのに伝わっていなければ情報提供にはなりません。伝わらない原因の一つには、眼鏡の色が関係しているのかも知れません。どの様なタイミングで、どんなイントネーションで、どのくらい情熱を持って話したかによって、伝わり方は千差万別だと思います。物が売れないのは商品のせいだけではなく、売ろうとしている相手の眼鏡の色を無視している場合があるのではないでしょうか。自分が眼鏡をかけているということ、そしてそれには色が付いているということ。こんなスタンスで人と話をしたり聴いたりしてみたいと思いました。

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