人こと

副社長 安孝幸

『どうなりたいか』

ワールドカップの予選通過前の話になるが、電車の車中で隣にカップルが座っていた。男性の方が「ワールドカップなんか興味ないね。だいたい弱くて話にならないよ」と語っていた。
サッカーが好きな方々ばかりではないだろう。サッカーを好きになれと言いたい訳ではない。勝つか、負けるかを当てる必要もない。「勝って欲しいか、否か」に対して素朴な疑問を持った。もちろん日本人として。オリンピックもWBCも、もちろんワールドカップも国対国の戦いだ。飛躍した話かも知れないが、その彼は自らが務める会社においても今回の対日本チームと同様の感覚を持つのだろうと感じてしまった。
数日後、グループ予選を通過した日本チームの闘莉王がインタビューにこう応えていた。「下手なチームは下手なりの戦い方がある」その通りだと思った。
誰とどの様に戦うか、解っていることではあるがなかなか難しい。勝つためには戦略が必要だ。5月にミルボンの佐藤社長が新人研修を終えた代理店の若手に向けたメッセージで、このような話をされていた。「皆さんご存じのウサギとカメの話ですが、どうすればカメはウサギに勝てるのでしょうか」答えは「勝てるフィールドで戦う」だった。美容室も「このタイプのお客様だったら他店には負けない。このメニューだけは自信がある…」今までもそうだが、これからの時代は強みを明確に打ち出すべきではないだろうか。大きい者や強い者だけが勝つとは限らない。戦い方を考え、常に柔軟ではあるが周りの意見に一喜一憂せず、目的を持って戦えばどうにかなるのではないだろうか。その前に、まずは勝ちたいか、負けてもいいかだ。勝ちたいと思ったら勝つための訓練を今直ぐに開始すべきでは。

もう一つ、喫煙が体に悪影響を及ぼすことは周知の事実だ。タバコは吸わない方が良いに決まっている。私も飲みの席では気にならないが、香りを楽しむような食事をしている際に断りなしに隣でタバコを吸われる事には少々不愉快さを感じる。しかし、もっと気になるのが禁煙者の喫煙者に対する敬遠の仕方だ。喫煙者を悪だとは思わない。からだを気にして禁煙をしているのに、カップラーメンを週に二度も食べてみたり、防腐剤の沢山混じっていそうな食べ物を月に何度も食べている人を見ると首を傾げてしまう。TPOさえ守り考えればタバコは否定しない。それより、いき過ぎた禁煙ブームに対してはどうかと思う。我々の職業は美容。美は健康から始まるものだと思うので、老化や健康を予防するには絶対喫煙はよくないが、単に意志が弱いだけでなく諸々の精神的なストレスの為に止めたくても止められない方々がいるのも事実である。
健康やエコを目指さなければいけない時代の真っただ中、何故このような喫煙者の肩を持つような事を申し上げるかというと、最近の日本の風潮がとても気になるからだ。「自分の意見を持たないみんなと一緒」である。ワールドカップの岡田監督の賛否しかり、民主党の問題しかり、角界へのバッシングしかり。良かった事が急に悪くなり、嫌いだったものが急に好きになる。自分の考えを持たない方が多く、メディアだけを信用する。頑固さは成長を拒むが、人の意見に直ぐに左右されない自分自身の確固たる考えを持つことが大切ではないだろうか。また、自分と違った価値観に対して合わせるのではなくそれも認める意識を持つことが大切なのではないだろうか。難の無い無難な人生より、難が多く有る有難い人生を選びたい(過去に美容室のオーナーから頂戴した「筆談ホステス」の本にそう書かれていた)

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