人こと

副社長 安孝幸

『今の我々に足りない物』

皆さんはエルトゥールル号の遭難事件を知っていらっしゃいますか?エルトゥールル号遭難事件とは、1890年(明治23年)9月16日に和歌山県串本沖でオスマン帝国(現在のトルコ)の軍艦が沈没した事件の事を言います。

オスマン帝国最初の親善訪日使節団として11ヶ月をかけて来日したオスマン・パシャ一行(エルトゥールル号)は帰国の途中台風による強風のせいで日本沖にて沈没してしまいます。この事故で587名という多くの犠牲をはらう結果になってしまいました。夜中に起こったこの事故を聞きつけた地元住民は、総出で救助と生存者の介抱に当たったと言われています。台風により漁船が出せない時期だった為に、村の食料はわずかでした。それにも関わらず異国の人の命を救う為に浴衣などの衣類の提供を始め、卵やサツマイモ、それに非常用の鶏まで供出したと言われています。その後、村から県を通し政府まで連絡が入り、当時の明治天皇はトルコまで日本海軍の軍艦を二隻だして生存された69名を送り届けたと言う話です。直接的にこの一件があったからかは定かではありませんが、イラン・イラク戦争でイラン国内に取り残された200名強の国民を日本に無事届けてくれたのがトルコの航空会社でありました。(自衛隊の海外派遣不可の原則のために自衛隊機による救援を受けられなかったうえ、日本航空の組合の反対により日本航空機による救援もできないために危機的状況にあった日本人に対し、トルコの大使は、「エルトゥールル号の恩返しをさせていただきます」とお応えになったらしいです)

直接自分の家族でも親戚でもない、ただ同じ国の先祖の命を助けた日本人に対して、トルコの国民は今日でも日本人に対しての感謝を忘れておりません。現在、我々日本人にこのような気持ちが存在しているでしょうか。祖国を愛せない人が故郷を愛せるでしょうか。故郷を愛せない人が会社を愛せるでしょうか。会社を愛せない人が家族を大切にできるでしょうか。家族を大切にできない人がお客様を喜ばすことができるでしょうか。大袈裟かも知れませんが、一事が万事ではないでしょうか。小さい事や、遠いことや、昔のことを大切にしていく事も必要なのではないでしょうか。

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